C.フランク生誕200周年 & O.メシアン没後30周年
パイプオルガンコンサート み国の来たらんことを
ADVENIAT REGNUM TUUM - ein Orgelkonzert mit Werken von C. Franck und O. Messiaen
セザール・フランク(1822-1890)
「3つのコラール」より「第3曲 イ短調」
「3つの作品」
幻想曲イ長調【受難】
カンタービレ【聖土曜日の墓の安息】
英雄的作品 【復活】
オリヴィエ・メシアン(1908-1992)
主の降誕 全曲
César Franck
Choral n°3 en la mineur
Trois Pièces pour grand orgue
Olivier Messiaen
La Nativité du Seigneur
パイプオルガン 吉田文 Aya YOSHIDA
チケット取り扱い 二宮音楽事務所 052-505-0151
チケットぴあ・Pコード219-129 / 芸文プレイガイド
本公演では、今年生誕200周年を迎えるセザール・フランク、そして没後30周年となるオリヴィエ・メシアンに焦点を当てたいと考えました。両者とも教会オルガニストであり作曲家であり、フランス音楽の要です。
フランクの後年の2つの作品集「3つの作品」(1878)と「3つのコラール」(1890)は、通常それぞれの曲集に収録されている作品が単独で演奏されます。しかしこの2つの作品集は、ヴィドールらの後継者によって開花されたオルガン交響曲形式の礎と見なすこともできます。フランクが残した後世への影響を再確認する為にも今回は、一つの作品集を交響曲の様に一連の流れとして演奏したいと考えました。
とりわけ「3つの作品」には「受難」(幻想曲イ長調)、「聖土曜日の墓の安息」(カンタービレ)、「復活」(英雄的作品)の意図が組み込まれているという説に着目し(Bungert,2019)、キリストが苦しみを受けて十字架につけられるという受難と、それに続く復活によって可能となったとされる「み国(=神の国)の到来と実現」へ思いを馳せ「平和の実現と体現」への祈りを重ねたいと思います。
プレ・プログラムとしてフランク最後の大規模なオルガン作品であり、最も知られている作品の一つである「コラール第3曲イ短調」を演奏いたします。
パイプオルガンの作品はキリスト教文化の上に成り立っていますが、その信仰の中でも宗派を超越した最も重要な祈りが、キリスト自身が教えた唯一の祈りである「主の祈り」です。公演名に含まれる「み国の来たらんことを(み国の到来と実現)」とは「主の祈り」の前半部分で唱えられる句であり、神の愛との交わり、即ち「永遠の平和と一致のうち」に「私たちの存在そのものが平和と愛の存在と一体となること」を祈っています。教会音楽家であったパイプオルガン作品の作曲者たちも必ず毎日祈っていたことでしょう。
2022年の今、私たちの祈りに世界を動かすことができる力があるのならば、民族や国家を超えて存在する平和な社会、そして本来の自然の姿と与えられた生命に感謝しながら、調和のうちに生きることができる世界を、誰しもが願うのではないでしょうか。
また「み国の到来と実現」の為には、イエスの受肉=生誕が大前提となります。
メシアンは、降誕=クリスマスを単なる牧歌的な情景として描写するのではなく、神のひとり子であるイエスが神から世界に遣わされ人として生まれるという受肉の神秘を9つの作品を通して表現しました。「神の愛のうちに全ての人々が一つとなり、その瞬間に『神が我らのうちに誕生』する」という、梵我一如にも通じるメッセージ性が、この作品から伝えられてきます。
オリヴィエ・メシアンの「主の降誕」は1935年に作曲された初期の作品であり、メシアンの近代的な作風に不慣れな方にも比較的聴きやすく理解されやすい作品です。クリスマス前の心の準備期間である待降節が11月27日から始まるこの時期だからこそ、是非ともお聴き頂きたいと思います。
キリスト教典礼を通して発展した楽器と作品を通して、私はこれまでのリサイタル同様に一宗教の枠を超えて、世界の普遍的な平和への祈りと調和に満ちた未来の創造の為に本公演を捧げたいと思います。