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風琴亭

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放浪の週末・そして少しだけコンサートのご報告

金曜日にチューバとのコンサートを終えて、この週末はPCを持たずにふらふらと放浪をしておりました故に、更新が遅れております。
その間にいらして下さった方、ごめんなさい。

いやぁ〜、もう、あの金曜日のコンサート、ヘビー級プログラムでした。
バッハもクッツィールのオルガンとチューバの曲も、別に難しい訳ではなかったのですが、

チューバと弦楽オーケストラのためのConcertino、

あの、オーケストラの部分をオルガンで弾くっていうのが、とにかくヘビーでした。
今だから書くけど。

楽譜もピアノ版を書き直さずにそのまま使ったので、楽譜を読むのに時間がかかりました。
オルガン用に手足分3段に楽譜が分かれていれば、どの音を体のどのパーツで弾けばいいのかと本能的に読んで弾けるのですが、楽譜上のどの音を弾かないようにして、どの音を手で弾いて、どの声部を足で弾いて......って考えながら体に憶えさせていくのは、非常に時間のかかるものだって今更ながら感じました。(簡単な曲なら別にいいんだけれどね。)
それから、オルガンの作品には有り得ない音形、これも弾くのがとっても大変でした。
時間的にも、音符の数からも、レーガーやヴィエルネや、練習するのが非常にめんどっちい部類の現代曲(いえいえ、現代曲全般がめんどっちいのではありません。現代曲弾くの、基本的に大好きです。バロックよりも性にあってるような気がする。でも、オルガンのこと、ご存知ない作曲家さんの作品とかだと、苦労することも多いンですぅ。)に比べれば簡単そうなのですが、
いやぁ〜、それがもう、とにかく大変だった、の一言。

ママ曰く、
アヤがそんなに大変という曲というのはいままでになかったから、聴いてみたいわぁ!
......って。

本当に、夜寝れない程一つのコンサートに緊張する、というのは、大学時代の試験の時以来でした。全く......。こんな感覚、忘れていたわ。

でも、本当に、とてもいい経験になって、とても楽しいコンサートでした。
この機会を与えてくださったチューバの北畑氏には感謝、感謝です。

彼のプログラムの構成の仕方、プログラムに対するこだわり方も、私の考え方に何だか似ていて、同調できるものがありました。
一番最初にお話をいただいた時は、チューバとオルガンなんて大してオリジナルの曲がないので、良く知られている旋律をアレンジしたものか何かかなぁ......って思っていたのです。
それが、蓋を開けてみれば、バッハ&クッツィールonlyのプログラム!!
これは、是非、弾かせてください!っていう企画だったのです。

不思議なことに、こうやって、練習時間が莫大に必要なコンサートを受けると、その間は他の仕事は入ってこないようになります。
あたかも、神様が、「真面目に練習しなさい」って機会を与えてくれているよう。

経済的に考えれば、音楽家のすることってもの凄く、ナンセンスなことが多いと思います。
でも、練習した時間、そしてコンサートを弾く機会、それらは全て、会社にでも事務所にでもなく、私自身へした大きな投資なのです。

今、すぐに経済的な見返りがある訳ではない、でも、私自身がこのような経験をさせてもらえる、ということは、何にも勝るありがたいことだと思っています。

それに、音楽を通して、又、新しく素晴らしい人たちと出会えました。
音信不通だった人とも、久しぶりの再会ができました。
世界が豊かに広がっていくのが、とっても、とっても嬉しい。

北畑さん、本当に、ありがとう!



......そして、この週末、お疲れ休みも兼ねて、ちょっとだけ放浪してきました。

土曜日の夜のてんぷら屋さんでの出来事。

カウンターの隣席に、とても人品の宜しそうな、初老のご夫妻が座っていらっしゃいました。
てんぷらをお好みでオーダーされていたのですが、そのオーダーの仕方が、もう、何とも言えない程、気持ちいい。
カウンターの後ろで作っている方たちとも、歯切れの良い会話をやりとりしながら、
いかにもおいしそうに時間を楽しんでいらっしゃる。
メゴチを頼んで、私はいらないからと遠慮する奥様に、これはおいしいから、と、ご主人の方がメゴチを半分にしてはひょいと彼女のお皿につっこむ様子も、羨ましく微笑ましく。

私は白ワインを飲みながらてんぷらをいただいていたのですが、
そのうち、ワインクーラーに入っているワインのボトルをご覧になって、
「ねぇ、大将、あれは何?」
と、大きな声で聞かれて。
大将の方が困ってしまって、
「あれはあちらのお客様の白ワインです」
...と、ちょっとしどろもどろ。
大将、こちらには
「すみませんねぇ.....」という顔をしながら。

で、又、ご主人の方、大きなお声で
「ワインですかぁ。そうですかぁ。私はワインのこと、あまり判りませんけれど、そんなものを飲んでてんぷら、美味しいんですかぁ?」
奥さんには「そんなこと言わないでください」と小声でたしなめられ、大将の方はもっとこちらにむけて「スミマセン」のまなざしを向けてきて。

わはは。こういう気っ風のいい人、私、好きだわぁ。

ついに、
「一杯、お飲みになりませんか?」
と聞いてしまったら、ご主人、
「いやいや、いいんです!」
っておっしゃって、ご自分で、グラス白ワインをオーダーしていらした。

それからの楽しいこと!

ご夫妻の仲の良さを見るのも嬉しき、
知りたい事は知りたい、食べたいものは食べたい、おいしいものはおいしい、と、気持ちのよい生き方をしている紳士に見知り合えたのも嬉しき。
とても短い時の間ながらも、おいしいてんぷらに加えて素晴らしい人生の先輩たちの生き方を、垣間見学できたような気がして、とても幸せでした。
by mausmirabilis | 2008-05-25 19:46 | 風琴徒然