6日目です。
林和利「古今東西ニッポン見聞録」風媒社 2014年
昨日は、日本人としての自分とヨーロッパの思想や文化を自分の内面から考察するという観点で「沈黙」を挙げましたが、今日ご紹介する本は、その反対位置からのものです。
魏志倭人伝、東方見聞録、ザビエル、フロイス、ヴァリニャーノらの宣教師やシーボルド、ハーン(小泉八雲)、タウト、クローデルからドナルド・キーン、李御寧まで古代から昭和まで「外国」の視点から見た日本の様相がコンパクトに紹介されています。
「外側」から見た外国は大概美しさや魅力に溢れていますが日本だって美しいだけの国ではありません。
その国を「外側」と「内側」から知るのには、その国の人間として言葉や文化や伝統を自分のものとして知り、受け入れ、自分もその国の一部として生きていく必要があると思います。
本書をそれぞれの書物のダイジェストとして読むのもわかり易くて楽しいですし、それよりも筆者の狂言・能、そして日本文化そのものの専門家としての、時代に沿った明快な注釈や考察が加わることにより、「外側」からの書評だけではなく「内側」からの視点も含めて多面的・立体的にそれぞれの書物の魅力と、日本の美しさや伝統、日本人の感じ方、捉え方、考え方を改めて知ることができます。
著者の林和利先生とは、先生のご退官まで4年ほど職場を一緒にさせて頂きました。共通の知人がいることや、当時の学舎へ同じ市バスで通うルートだったことからも、特に親しくさせて頂きました。博識・典型的な「学者」でありながら、人懐っこい笑顔と楽しいお話で全く偉ぶることがない、私がとても敬愛している先生です。
ご自身も狂言や謡曲を嗜まれますが、特に深いバリトン音域の声音には作曲家である私の夫がひきこまれ、夫の作品「パイプオルガン、打楽器、朗読の為の『我らの主イエス・キリストの継承について〜M.コルベ、D.ボンヘッファー、聖書による7つの続唱〜』 (1992)」の上演に於いては、コルベ神父、ボンヘッファー牧師の言葉と最期の時の描写および聖書の句の朗読という、大変重い内容の朗読を「林先生以外に考えられない」と、お願いした経緯があります。
林先生は五線譜を読まれないので、冒険的と言えば冒険的でしたが、素晴らしい共演をさせていただきました!
是非また再演したいです。日本中で。
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