ドイツの音楽大学を卒業された方へ。
もうご存知の方も多いかも知れませんが、私はつい最近知ったことなので、もしかしたらお役に立てるかもしれないと思い、覚書代わりにここに貼っておきます。
2015年に、一般社団法人国立大学協会、一般社団法人公立大学協会、日本私立大学団体連合会とドイツ大学学長会議 の間で「ドイツと日本との間における学術交流協定書」が交わされました。
その中で、ドイツの音楽大学の資格についても日本で何に相応するのかが明確化されました。
日本語はまだ「仮訳」となっていますが、
別紙1(7)に「音楽及び芸術」の項目があり、その下の項目に
(3) ドイツにおける、音楽もしくは芸術の分野における大学又は同等の高等教育機関によっ て授与される学位Diplom(ディプロム)は、Master of Arts(学術修士)の学位と同等と みなされるものとする。
(4) ドイツにおける、音楽もしくは芸術の分野での上級課程修了後のKonzertexamen(国家演奏家資格試験)又はMeisterschüler( マイスターシューラー)の地位又は同等の地位 は、専門的職業やその科目を教える資格に関連して、それぞれDoctor of Musical Arts(音楽学博士)並びにDoctor of Arts(学術博士)の学位と同等とみなされるものとする。
とされています。
日本語の仮訳の全文は、こちらで掲載されています。上記の文章もこちらから引用しました。
原文は英語で、Hochschulrektorenkonferenz(ドイツ大学学長会議)のHPに掲載されています。
音楽活動をしている分には、ReifepruefungやKonzertexamenの名称だけで特に問題なく通用するのですが、私が音楽大学ではない大学教員としての履歴書にこれらの資格を書いた時には、今まで例がなかったことなので、研究者情報にもとりあえず「学士」として登録されていました。(私も、まあ、仕方がないかと思っていた。)
学士でも特に不自由はなかったのですが、来年度から別の大学の非常勤として講義科目を担当するに当たり、「少なくとも修士の資格が必要なのですが...」と言われ、「あれれ?」と探したところ、私が卒業したケルン音大のHPでは、私が持っている教会音楽科課程も演奏家コースのディプロムも終了資格が「Master of なんとか」となっていたので、とりあえずクリア。
その後、文科省の課程再認定の関係で履歴書などを書く必要があり、そう言えばReifepruefungって日本語で何て言うんだっけ?と軽い気持ちでググってみたら、上記のサイトに当たりました。
「専門的職業やその科目を教える資格に関連して...博士の学位と同等とみなされるものとする」
なので、もちろん博士そのものではありません。自分の専門を教える場合に限って、同等とみなされるということですが、もうそれだけのことを公式に言ってもらえれば、大抵の場合十分なのではないでしょうか。
(そもそもドイツではその頃総合大学で(音大ではなく)2科目以上(音楽学と教育学とか、音楽学と神学とか)全く異なる科目を取らないと修士さえも取れませんでした。音楽学を取るにはラテン語の終了証書が必要ですし、とにかくハードルが高い。ドイツの博士号を持っている人たちは、本当に凄い人たちです!)
Diplomが「修士の学位と同等とみなされ」Konzertexamenが「専門的職業やその科目を教える資格に関連して...博士の学位と同等とみなされる」と明記されたことによって、いろいろとすっきりしました。
他の保育・教職養成校などでも、ドイツの音楽大学を卒業した方が多く活躍されていると思います。これから教職に就くことになる方もいらっしゃると思います。もしもご参考になれば良いなと思い、リンクを残しておきたく、投稿しました。