昨日の話になりますが。
知り合いのキヌエさんから宅急便が届きました。
キヌエさんとは、母が30年程前にピアノを教えていた生徒さんのお母様です。
数ヶ月に一回程、キヌエさんは拙宅に宅急便を送ってくれます。
何を送ってくれるのかというと、
「煮物」。
これが又、半端じゃない量。
みかん箱一箱に、大きなタッパーぎしぎしに詰まった煮物やお惣菜やお漬け物を20種類程(全て違うお味付け!)と、お赤飯や(お重箱1つ分、これもぎっしり詰まっている)おいなりさん(30個ぐらいは絶対入っている)、お赤飯の時は大きなごま塩の瓶まで一つごろんとつけて、
「どかん」
と、予告もなしに送りつけてきてくれます。
お庭で取れたおねぎやお野菜が入っていることもよくあります。
みかん箱のずっしりと重たいこと......。
そしてお礼の電話をすると、
「ごめんねぇ〜、又、爆弾みたいな煮物おくっちゃって!わはは!」
と豪快に笑っている。
この、キヌエさんの爆弾便が着たときは、本当に、すごく嬉しい!
何で同じ煮物でも、こうもお味が違うようにできるんだろ。
何でこんにゃくに、こんなにお味がしみているんだろ。
お麩のようにお味がないものでも、うわ〜、おいしっ!って思うような繊細なお出汁が使われていて。
そして、繊細なお味とは反対に、彼女の豪快さが、又、嬉しい。
大きなタッパーに、これでもか!っていう程、お野菜がぎっっっしり詰め込まれている。
お野菜も、気持ち良い程ざっくざっくと切ってある。
何でも、お料理をつくるのが大好きで、何かを作っては、玄関先で誰かあげれる人が通らないかと待ち構えているらしい。
東京で下宿しているお孫さんのところにも、ばぁちゃんの煮物便をせっせと送ってもいるらしい。
そして、このキヌエさん、お年をめされるごとに、綺麗であか抜けていらっしゃる。
我が家では、25年前に祖母が亡くなって以来、煮物というものを作れる人がいなくなってしまいました。
唯一、父が、春はたけのこの煮物を、秋は里芋の煮物を作るぐらい。(彼の腕も最近あがってきて、こればかりは下手な料亭よりは余程上手になってきたけれど。)
私の母が作ってくれた「おふくろの味」というのは、カニクリームコロッケとか、マッシュルームのいっぱい入ったオムライスとか、スパゲッティとか、何せ、おふくろの味自体がカタカナになってしまっている。
なので、キヌエさんの爆弾便が届いた日には、
大事に取っておいた、おいしい日本酒を開けて、
大伯父がつくった器を出して、
最上級に幸せな居酒屋風琴亭が開亭します。
写真、ぶれちゃった......。